愛してるよを伝えられる相手がいる幸せ、の投稿で書いた飲み会では。
ご夫婦で参加の方以外にも、単独の男性も何人かいましてね。
遅ればせながら私の隣に来た60間近の男性Aさんが、ポツリポツリと想いを分けて下さいました。

夫婦仲が悪くなって、離婚も考えていた時期に、奥さんがウツになったそうで。
ウツで伏せる奥さんに代わり、仕事も在宅勤務に変え縮小し、家事育児に専念してきました。

四年前にこのゴルフ仲間に誘われて、少しずつ自分の時間を持てるようになって、本当にありがたいんだと。
普段はこんな話ししたことないんだけど、あなたが性の話しのできる人だから初めて話すんだけどと前置きしたあと、こう話してくれました。

A「奥さんのウツが酷い状態の時に、セックスを求められたんだけど、とてもそんな気持ちになれなくて、応じる事ができなかったんだよ。」

ちゃ「そうですねー、そんな気持ちになれないのは分かります。奥さんに代わって、頑張っておられたんですもんね。この状況でセックスって何だよと思っても不思議じゃないですよね。」

A「んー、そうなんだよー。
可哀想な事しちゃったなってね。」

ちゃ「ウツの時ってね、自分の体がどこまであるか分からなくなるんですって。だから、人との関わりがうまくいかないんです。境界線が分からないから、必要以上に人や周りのあれこれが自分に入りこんでしまうから辛いんでしょうね。セックスで触れ合う事で、自分の体の輪郭が分かると、ウツが改善するって事はあるみたいで。触れ合うってそれだけ力があるし、その時の奥さんの心の叫びだったのかもしれませんねー。」

A「さっきから性の話を聞いていて、そうだったんだろうなと思ってさ。後悔してる。僕は今、こうして楽しい時間を持てるようになったんだけど、誰にも会わずに楽しい事もしない奥さんの人生がこれでいいのかなって、可哀想になっちゃうよ。」

ちゃ「奥さんが幸せかどうかは、本人以外には分からない事ですので、何とも言えないですけど。でも、こんな状況でも見放さずに全てを受け入れ続けてくれた事が、奥様にとっては何よりも最高の状況だったんじゃないですかねー。ずっと支え続けているって、素晴らしい愛だなと思います。」

A「愛なんて、そんな綺麗なもんじゃないんだよ。惰性な部分も多いし。優しくなれない時も多いから。」

ちゃ「簡単じゃない事をやってるだけで素晴らしいなと私は思います。愛じゃないって言ってるけど、離婚して見放してもいいのに、一緒にいるを選択しているってのは、やっぱり愛の一つの表現なんじゃないかなと、そこはやっぱり奥さんを大事に思ってる証拠なんじゃないかと、離婚した私からしたら思いますよ。愛にもいろんな形や表現がありますから。現実は一筋縄に上手くいかない事も多いんでしょうけど、セックスを断った事が忘れられずに、ここでこうして私に話すぐらいなんだから。きっと奥様を大事にしたかったって事なんじゃないかなと、優しい気持ちだなと私には感じますよー。」

Aさんの目には涙が！

A「そう言われると、救われるなぁ。よかった、話せて。」

男性の背中をさすりながら

ちゃ「とっても素敵です。これからますます自分の時間も大事にしていいと思います。きっとこうして外に出ている間も、気にかけてらっしゃるんでしょ？言葉の端々にそう感じます。頑張りすぎちゃうと、優しくなれないから。だから、これからもっと楽しい時間を持てるように、奥さんの背中をこうしてなでてあげる時間を、1日5分でいいからとってみませんか？奥さんに変化があるかもしれません。あ、奥さんの為にやってやってると思うと、気長にできなくなりますので、自分のためにやってると思うのもポイントでしてね。この先、まだ20年30年一緒にいるんですもの。奥さんの背中を撫でて、ひょっとして奥さんが世界と上手く関われる力が広がったら、自分の時間をもっと取れるようになってラッキーだから、それを試す実験だと思うんです。撫でられてる方よりも、撫でてるほうがホルモンの作用で心が穏やかになるんですよ。少なくとも、気持ちは優しくなってくるかもです。」

A「んー、今更なぁ、できるかなぁ。」

ちゃ「どうでしょうね！実験だからお気軽に。」

しばらく、Aさんの背中をさすってオキシトシン注入しておきました。

帰り際、
A「あなたが言ってたことも、やってみようかなと思うよ。ありがとね。」
ちゃ「ご無理のない範囲でボチボチとw」

人生の先輩の胸をお借りしての、至らぬ私のクソバイスでしかないかもしれないけど。
何だか、とても心に残ったお話しでした。

夫婦って難しいね。
どんなに崩壊している様に見えても、夫婦であり続けている意味って大きいなと感じる今日この頃。
本人も気付いてない事が多いけど、惰性だろうと何であろうと、やっぱり大事な人でしかないから繋がっているんです。
愛はないようで、動かしようもなくそこにあるんです。
Aさんの不器用な愛。
奥さんのウツになってまで旦那さんと繋がりたかった愛。（意図がそれだけとは言えないけど）
きっと話しの中では見えていない、傷つけ合うような事もあったんだろうけど。
この先まだ一緒にいるんだから、ナデナデで変化があったらラッキーだよね。
触れ合っていけば、拘っていたつまらない何かなんてどっかいっちゃうから。

さあ、もっとパートナーと触れ合っていこう。
そんな触れ合いが、当たり前にありふれまくっている、優しい世の中にしていこう。